第1回 強弱と音程―音の「大きい(強い)」「小さい(弱い)」と「高い」「低い」
大竹美穂のブログ
ピアノの体験レッスンに来られた子供の生徒さん。「わあ、大きい!!」2台のグランドピアノにキラキラ目を輝かせています。「自由に弾いていいよ」と声をかけると、ピアノの真ん中に座って、好きなように音を鳴らしています。その姿を見ている保護者さんも私も笑顔。そして身体の前から遠く離れた鍵盤の端のほうまで手を伸ばし、どこでどんな音がするのか、確かめています。
「右側に(→)腕をいっぱい伸ばして弾いた音はどんな音?」-「小さい音」
「左側(←)は?」-「大きい音」
「こっちは何の鳴き声?(→右)」-「小鳥さん」
「こっちは(左←)」-「象さん」

子供たちの言葉では、高音は小さい音、低音は大きい音、と表現されるようです。
ピアノの弦は高音域では細く、低音域では太くなっているわけですから、
か細い小さい音、野太い大きな音が聴こえますよね。
ここで一歩進んで、小さな小鳥の高い鳴き声、大きな象さんの低い声、から
音の「高さ」「低さ」を知ってもらおうと思います。

高い、低い、は水平方向に対して、垂直方向に
「背の高い木」とか「低い木」のように使われますが
音程を表すとき、ピアノの鍵盤では真ん中から
右の方に(ピッチの)「高い音」、左の方に(ピッチの)「低い音」という言葉を使います。
子供たちにとって「右側が高い音」「左側が低い音」というのは
少し難しいかもしれませんが、
「小鳥さんの高い音どこ?」「象さんの低い音どこ?」と鍵盤で遊んでいるうちに、右側に「高い音」、左側に「低い音」という言葉とともに音の高低(音程)を覚えていきます。そして、真っ白なキャンバスに絵を描くように、低い音をそっと鳴らして「お化け」を表現したり、高い音を「キャンキャン」と子犬の鳴き声にしたり、真ん中で「ピーポーピーポー」と救急車を走らせたり、たくさん楽しんで、そしてピアノという大きな楽器からいろいろな音が出ることを知ってほしいと思います。
次回は 音の階段を上ったり下りたりすることと、楽譜上での音の表記についてお話します。